慰謝料算定基準って違うの?
2月に入り、益々寒くなってきましたね。
京都の冬は体の芯から冷える感じがいたします。
皆様もお身体にお気を付け頂ければと思います。
さて、今回は、交通事故の慰謝料についてお話をさせて頂きたいと思います。
1 はじめに
慰謝料とは、「精神的な損害を金銭的に慰謝する金額」をいいます。
ですので、本来であれば、慰謝料とは
精神的に傷ついた金額に対応した金額になる、とも思います。
ただ、「傷ついたかどうか」で慰謝料の額を判断することになると
同じ交通事故の被害を受けたにもかかわらず、
「傷つきやすい人」の慰謝料が多くなり
「傷つきにくい人」の慰謝料が少なくなるという
不公平ともいえる状況が生じてしまいます。
このようなことから
現在の裁判例、及び保険会社においては、
慰謝料を、このような「傷ついたかどうか」という主観で判断せず、
客観的に、治療の状況及び後遺障害の程度で
判断することになっております。
長く治療がなされたのであれば精神的な損害は大きく、
また、後遺障害が発生したら精神的な損害が大きいと
考えられるからです。
治療の状況により認められる慰謝料を「入通院慰謝料」
後遺障害の程度により認められる慰謝料を「後遺障害慰謝料」といいます。
入通院慰謝料は、事故後、
「完治した」または「これ以上治療しても良くならない」状況になった時点
(「症状固定時」といいます)までの治療の状況に基づき算定いたします。
ですので、事故直後や治療期間中は、入通院慰謝料は確定いたしません。
後遺障害慰謝料は、上記の「症状固定」になった際に
後遺障害が残存した場合、
後遺障害の程度に応じて算定される慰謝料です。

2 入通院慰謝料について
ところで、入通院慰謝料の算定の方法ですが、
加害者側の任意保険会社は
「入院日数1日ごとに○○円、通院日数1日ごとに○○円」
と算定して、その総額を被害者に提示する場合が比較的多いです。
この算定方法だと、
(1)仕事などの関係で思うように通院ができなかった方
(2)痛くてたまらないので通院もままならなかった方
にとっては、通院を多く行った方に比べ、
入通院慰謝料が減額されてしまいます。
具体的に述べますと、
仮に頸椎捻挫の傷害を負った事故で
Aさんは1月10日から6月9日まで6ヶ月間、毎月12回通院し、
Bさんは1月10日から6月9日まで6ヶ月間、毎月4回しか通院しなかった
とします。
任意保険会社が「通院1日当たり4200円」の基準で入通院慰謝料を
算定した場合、
Aさんは、6ヶ月間で12回×6ヶ月×4200円=302,400円の慰謝料が提示されるのに対し、
Bさんは、6ヶ月間で4回×6ヶ月×4200円=100,800円の慰謝料
しか提示されないことになります。
同じ通院期間なのに、通院日数の差で、3倍もの開きが出てしまうのです。
他方、裁判になった場合の算定の方法は、
原則として、通院日数ではなく、症状固定時までの通院期間で判断します。
上記の例ですと、AさんもBさんも同じ通院期間6ヶ月ですので、
裁判での入通院慰謝料の基準は、おおよそ890,000円になります。
上記の算定金額を大幅に上回るばかりか、
AさんもBさんも公平に算定されるのです。
このように、裁判での慰謝料の基準は
(1)任意保険が提示する慰謝料の基準よりもはるかに高額であり
(入通院慰謝料に加え、先ほど述べた「後遺障害慰謝料」でも
同じことが言えます)
(2)かつ、通院日数ではなく、通院期間で算定されるのです。
裁判基準での慰謝料の算定の方が、
特に通院日数がそれほど多くない被害者の方にとっては
有利であることがお分かりいただけたと思います。
3 弁護士はどのような算定方法を取るか
弁護士は、慰謝料の交渉につき、
任意保険会社ではなく、裁判基準に基づき保険会社と交渉を行います。
なぜなら、裁判基準の方が
「法律上認められる正当な慰謝料額」だと考え、交渉に臨むからです。
交通事故の被害にあったにもかかわらず、提示された慰謝料額が低く
「こんなに傷ついたのに、この金額では納得できないよ」
と思われる被害者の方は、
是非、一度、弁護士に相談して、
裁判基準=法律上認められる正当な慰謝料額をお聞きされることを
お勧めいたします。
