相続などの「ややこしい問題」で弁護士ができる「問題点の整理」について

相続などの「ややこしい問題」で弁護士ができる「問題点の整理」について

一気に寒くなりましたね。
新型コロナウイルスも風邪も心配です。
体調管理にはお互い気を付けていきたいと思います。

さて、今回のコラムは、相続の問題を例にとり、
相続などのややこしい問題で弁護士ができる「問題点の整理」
を解説したいと思います。

まずは、ややこしい問題の事例をご紹介いたします。
架空の事例です。

事例

【事例】
 父が亡くなり、法定相続人は母(A)と長男(B・相談者)と次男(C)。
 遺言はない。
 父の財産は、Aと暮らしていた土地・建物(固定資産税評価額5000万円)、預貯金(3000万円)、父が経営していた株式会社Dの株式100株(発行株式すべて。評価額不明)。また、父は株式会社Dの借入金1億円について連帯保証している。
 長男Bは「私が会社の経営を継続するので、父の財産のうち株式はすべて、その他の財産もせめて半分は相続したい。借入金1億円の連帯保証は継続してもいい」と主張しているが、次男Cは、「株式会社Dの株式の4分の1むしろ生前に父から長男に祝い金300万円をもらっているから、その分は特別受益として差し引いてほしい」と言われている。母Aは長男Bと付き添って相談に来たが、よくわかっていない様子。

弁護士が行う問題点の整理とは?

【弁護士が行う「問題点の整理」とは?】
 事案に応じ、解決に向け、問題点を拾い出し、整理していきます。
 そして、解決方法を考えていくのです。

【上記の事案の問題点の拾い出し】
  ※ ここからは少し長くなり、専門的な話も多くなります。
    一気に【ややこしい問題のときはどうすればいいか】まで飛ばして読んでもよいかと思います。

 では、上記の事例において、どのように問題点を拾い出し、
 整理していくのか
 ご説明したいと思います。

1.母Aは遺産分割協議の内容を理解して遺産分割協議の意思表示ができるか?

(1)母Aは遺産分割協議の内容を理解して遺産分割協議の意思表示ができるか

  実はこれが真っ先に来る大きな問題点です。
  遺産分割協議の内容が理解できないのであれば、成年後見人を選任するか、遺産分割の審判がなされないと、遺産分割が実現できないからです

2.土地・建物の評価額がA,B,C間で合意できるか?

(2)土地・建物の評価額がA、B,C間で合意できるか

  合意できなければ、「遺産総額」が確定せず、遺産分割協議が進まないからです。

3.株式会社Dの株式は法定相続分とは別にBが全て相続することに、A,Cが合意してくれるか?

(3)株式会社Dの株式は法定相続分とは別にBがすべて相続することに、A、Cが合意してくれるか

  通常であれば、株式も株式会社の社員たる地位であり、財産的評価があるため、遺産分割の対象になります。ただ、A,Cが連帯保証債務を免除してもらえるのであれば、応じる可能性もあるかもしれません。

4.(3)が無理な場合、株式会社Dの株式の評価額が第三者間で合意できるか?

(4)((3)が無理な場合)株式会社Dの株式の評価額が三者間で合意できるか

  合意できなければ、「遺産総額」が確定せず、遺産分割協議が進まないからです。

5.(3)が無理な場合、連帯保証債務は法律通り、法定相続分に基づき分割することでよいか?

(5)((3)が無理な場合)連帯保証債務は法律通り法定相続分に基づき分割することでよいか

  A,Cが反対すれば、合意による遺産分割は実現しないこととなります。

6.300万円のうちどの程度を特別受益とすることで合意するか?

(6)300万円のうちどの程度を特別受益とすることで合意するか

  祝い金は特別受益に当たらないとも思えますが、この点で、A,Cの同意が得られるかが問題となります。

7.そもそもA~Cが、遺産分割で最も実現したいことは何か?

(7)そもそも、A~Cが、遺産分割で最も実現したいことは何か。

  遺産分割で最も実現したいことが分かれば、その他の点は、譲歩を得られやすいからです。
  なお、この事案では、A・・・居住の確保、B・・・株式の確保、C・・・法定相続分に応じた金銭の確保、ではないかという予想ができます(あくまで予想であり、異なるかもしれません)

(1)~(7)の検討結果を踏まえ、Bの代理人として、遺産分割調停や遺産分割審判等を避けつつ、Bの利益を最大限実現する見地から、どのような解決案を提示すべきか?

(8)上記(1)~(7)の検討結果を踏まえ、Bの代理人として、遺産分割調停や遺産分割審判などを避けつつ、Bの利益を最大限実現する見地から、どのような解決案を提示すべきかBは「私が会社の経営を継続するので、父の財産のうち株式はすべて、その他の財産もせめて半分は相続したい」と主張していますが。現時点でそれだとA,Cの同意が得られないことは明らかです。そうすると、遺産分割の交渉ができないことになります。上記の(1)~(7)の問題点や、法律の制度(例えば、近時の相続法改正で導入された「配偶者居住権」など)などを基に検討し、解決方法を、できれば複数考え、提案していきますここまでが、事案に応じた問題点の整理の方法です。

ややこしい問題の時はどうすればよいか?

【ややこしい問題のときはどうすればいいか】私にお話しいただければあとは私の方で「問題点の整理」を行っていきます。事案も整理いたしますし、問題点も拾い出していきます。ですので、少なくとも私への相談の場合は「事前に、いろいろ、整理していかなきゃ」思う必要は全くございません!ありのまま、お話しいただければと思います。(ただ、関係する書類は持ってきていただけると事案を早く把握することができるので助かります)話をして、問題点を整理していくだけでも、今までの悩みがだいぶ解決できる場合は多いです。相続に限らず「ややこしい問題」を抱えている方からのご相談を心からお待ちしております。

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